ギルドの辿る道

街にて

せっかく街に来たので、今後のために必要な物を買おうとふたりは店を回り始めた。

「セール大好き、値引き・割引嬉しいなっ♪」

「変な唄、歌うなよ」

楽しそうに歌いながらメルが店に入る。扉には『武器屋』と書かれていた。

「こんにちはーっ」

「あら、メルちゃん。いつものだね??」

ふたりは此処の常連客だ。なので買う物は言わなくても用意してくれる。

「ありがとおばさん。アトラ、お金よろしく」

くるりと振り返るメル。

「わかってるさ」

アトラがポケットに手を入れて、ぴたりと動きを止める。
そして言い放った。

「ない」

「…は??」

「財布がない」

「……なにぃ!!?」

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