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「悪い、悪い。そういやあ、さっきスリに注意しろとかいう紙あったな」
特に悪いと思っていないように軽く謝る。
「悪いって思ってないでしょ??」
「あ、わかるか??」
「私をおちょくるなっ!!」
今にも掴み掛からんとする勢いでアトラに迫る。
鬼の形相とはまさにこのことだと思う。
「心当たりはないの??」
「うーん…さっきのヤツ。ぶつかったときにスられたのか、も…」
最後まで言う前にメルが飛び出して行った。開け放たれた扉を見つめるふたり。
アトラはすぐにため息をついておばさんに向き直った。
「いつも騒がしくて悪いな。ほんとあいつは金に目がねぇから」
おばさんはその言葉に苦笑して言う。
「いやいや、賑やかなのは好きだからね。だからいつもメルちゃんとアトラくんが来るの楽しみにしてんだよ。
これはツケにしとくから、またおいで」
先程メルに渡しそびれた、弾丸が入った袋を差し出された。
「さんきゅ、おばちゃん」
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