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「被害総額が半端じゃないのよ。そのせいでこの街の住人は困ってて…。うちも被害にあったしね」
「とにかく早く捕まえたいってわけか??」
それだけでここまで額が上がるもんなのか??
それにたかがスリごときに手配書が出されるってのもそうそうない。
「それに問題があってね、犯人がわからないのよ」
「そりゃ普通だろ」
なにを今更。珍しくもない。
そういった感じの視線を送る。
「これだけ騒がれてるのに、似顔絵のひとつもないの」
ふと紙に視線を移すとたしかに似顔絵どころか特徴のひとつも書かれていてない。
だが、アトラはそれについては触れなかった。
「…にしてもちょっと妙だな。こんだけ騒がれてんのに被害は減ってねぇんだろ??」
「そうなの。…なんでだと思う??」
「んなの俺が知るかよ」
「そうよね」
困ったようにため息をつかれる。
そしてそこで一度会話が途切れた。
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