街にて

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「…実はね、それだけじゃないんだよ」 「これだけじゃない??」 おばさんはさらに暗い顔をして話し出した。 「最近、この近辺で盗賊事件が多発しててねぇ。いつこの街の住人に被害が及ぶか不安で仕方ないのさ」 「…そりゃ物騒だな」 アトラはすぐにその盗賊事件の犯人が自分達だとわかった。 「スリはお金とかを盗られて困るけど、盗賊は命までもとる奴等だからね。アトラくん達も気をつけるんだよ」 なんだか複雑な気分だ。 「俺等は大丈夫だ。ほら、そんな金も装飾品も持ってねえしさ」 ここは誤魔化すに限る。 「さてと、そろそろ行くぜ」 「メルちゃんが帰ってくるまで、此処にいるんじゃないの??」 「もう帰ってきたさ」 アトラが扉を開けると、どんよりしたメルが帰ってくるのが見えた。 「なんで分かったの?」 「さあね」 アトラはにやりと笑って店を出た。 .
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