5人が本棚に入れています
本棚に追加
「…実はね、それだけじゃないんだよ」
「これだけじゃない??」
おばさんはさらに暗い顔をして話し出した。
「最近、この近辺で盗賊事件が多発しててねぇ。いつこの街の住人に被害が及ぶか不安で仕方ないのさ」
「…そりゃ物騒だな」
アトラはすぐにその盗賊事件の犯人が自分達だとわかった。
「スリはお金とかを盗られて困るけど、盗賊は命までもとる奴等だからね。アトラくん達も気をつけるんだよ」
なんだか複雑な気分だ。
「俺等は大丈夫だ。ほら、そんな金も装飾品も持ってねえしさ」
ここは誤魔化すに限る。
「さてと、そろそろ行くぜ」
「メルちゃんが帰ってくるまで、此処にいるんじゃないの??」
「もう帰ってきたさ」
アトラが扉を開けると、どんよりしたメルが帰ってくるのが見えた。
「なんで分かったの?」
「さあね」
アトラはにやりと笑って店を出た。
.
最初のコメントを投稿しよう!