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お金がなくて結局なにも買えずにふたりは森へと歩いていた。
「はぁ…。見つかんなかった」
しょんぼりしながらメルがぼやく。
そんなメルの隣で軽い口調でアトラが言う。
「しょうがねぇよ。そんなに気にすんなって」
「あのね、あれって私達の全財産だったのよ!!これからどうやって生活する気!!?」
それに少しだけ考える素振りを見せる。
「ま、なんとかなるだろ」
「アトラはいつも軽いのよ。大体、なんでスられたって分かったときに追わなかったのよ??」
こりゃ説教になりそうだ。
そう思ったアトラは適当に流すことにした。
「メルが早くしないと置いてくって言ったんだろ」
「…」
言ったかもしれない。
「じゃあ、なんで私と捜さなかったのよ」
「お前に見つけられねぇのに俺に捜せるわけねーだろ」
「…ああ言えばこう言う」
そりゃお前だ。
その言葉は口には出さなかった。
このままだといつ長々とした説教になるのかわからない。
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