5人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
森の奥深く。
猛獣達が住んでいる危険な場所。
そこは薄暗く昼間でも日の光が差し込むことはない。当然人が近づくことも滅多にない。
そんな森に小屋を建てて暮らす二人組がいた。
「今日も成功ねっ」
一人が楽しそうに懐から小さな袋を取り出し、中身を無造作にばらまく。
床に高価そうなネックレスやブレスレットが転がる。
腰まで伸びた栗色の髪に大きな飴色の目。
そして左右で長さの違う前髪。
左の方が短く左耳からはピアスが見える。
彼女の名前はメル。
メルの視線の先には片膝を立て床に座っているもう一人。
「俺達が失敗するわけねぇだろ」
彼はアトラ。
黒髪で赤い目をしている。
だが、右目は前髪に隠れていてその瞳は見えない。
肩より少しだけ短い髪をひとつにくくっている。
「それもそうね」
アトラの言葉に納得し、床に散らかしたモノを見て満面の笑みを浮かべる。
.
最初のコメントを投稿しよう!