二人組

3/8
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「これ全部でいくらくらいするのかしらね」 目をキラキラと輝かせて食い入るようにそれらを眺める。 その様子をアトラがからかう。 「金の亡者みてぇだな」 アトラの言葉に照れ笑い。 「あはは。それほどでも」 「…褒めてねえし」 「そうなの??」 そう話しつつも目線は床の上に。 まじまじと品を見定めるように観察するメル。 「…きれいね」 ぽつりと呟く。 それを見たアトラは閃いたように言う。 「欲しかったら持ってっても良いんだぜ。ただし、落とすんじゃねぇぞ。足がつく可能性があるからな」 「えー、いらないわよ。これがお金になるから良いんじゃない」 「……」 これに返す言葉は見つからなかった。 「…さっさと換金しに行くか」 「うん」 ため息混じりに言った言葉にメルは満面の笑みで答えた。 すぐにアトラは鍔のない藍色の刀を腰に差し、メルは護身用とは思えない銃をホルスターに入れた。 そしてふたりは森を出て街に向かった。 .
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!