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「これ全部でいくらくらいするのかしらね」
目をキラキラと輝かせて食い入るようにそれらを眺める。
その様子をアトラがからかう。
「金の亡者みてぇだな」
アトラの言葉に照れ笑い。
「あはは。それほどでも」
「…褒めてねえし」
「そうなの??」
そう話しつつも目線は床の上に。
まじまじと品を見定めるように観察するメル。
「…きれいね」
ぽつりと呟く。
それを見たアトラは閃いたように言う。
「欲しかったら持ってっても良いんだぜ。ただし、落とすんじゃねぇぞ。足がつく可能性があるからな」
「えー、いらないわよ。これがお金になるから良いんじゃない」
「……」
これに返す言葉は見つからなかった。
「…さっさと換金しに行くか」
「うん」
ため息混じりに言った言葉にメルは満面の笑みで答えた。
すぐにアトラは鍔のない藍色の刀を腰に差し、メルは護身用とは思えない銃をホルスターに入れた。
そしてふたりは森を出て街に向かった。
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