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なかは思いの外広く、ワインの独特な香りが漂っていた。
そう、ここは酒場だ。
カウンターの奥の部屋からベルの音を聞いた主人が出てくる。
黒いサングラスをかけたやや太めの男だ。
「おや、おまえさん達か。今日は何を持ってきたんだい」
開店時間外に来たふたりに驚きもせず、話し出した。
メルは先程床にばらまいたネックレスやブレスレットをカウンターに並べた。
いつもふたりが盗ってきたものはここの主人に闇オークションで売ってもらうのだ。
「こりゃまた立派なモノを盗ってきたなあ」
お金が入るからなのか、主人の声は明るい。
「でしょ??また良い値つけてきてよ」
メルが目を輝かせている。
主人の反応がまずまずだったので、高値で売ってくれると期待を寄せたのだろう。
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