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「くれぐれも足がつかないように頼むぜ。俺らはまだここでやりたい事があるからな」
「わかっておる。わしとて大事な金ヅルを易々と逃がすつもりはないからなあ」
がははと満足そうに笑う主人。
「依頼料はいつも通りでいいんだろ??」
いつもとはオークションで売った値段の3割を与えるというものだ。
そこにはふたりの仕事についての口止め料も入っている。
「もちろんだ。おまえさんたちは貧乏な暮らしをしているからなぁ。あまり多くは取れんよ」
「ちょっと、マスター。悲しいこと言わないでよ。ていうか、3割って結構多いじゃないっ」
そうだそうだ、とふたりが文句を言う。
この空気はまずいと主人は話を逸らすように別の話題をふった。
「…前から不思議だったんだが、わしはこの金で十分生活出来るというのに、なんでおまえさん達はそんな貧乏なんだ??」
メルがきょとんと主人を見る。
アトラは逆にそっぽを向く。
「悪かったな。いつも俺が使いすぎて」
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