~蛇怨~

3/11
578人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
家のドアを勢いよくあけ 占竜と裕美が二階の香奈の部屋に駆け込んできた! 「グッ… やはり… 蛇かぁ!」 占竜は慌てて術にとりかかる! 「香奈に()きし邪悪(じゃあく)なる長縄(ながなわ)(はら)物部香奈(もののべかな)(たましい)をこの身に呼び込む… 天地の(ことわり)により、天寿(てんじゅ)(ゆが)めを 正す! 我が占竜の真名(しんな)言霊(ことだま)にのせ、(いの)(ねが)(たてまつ)る! この世とあの世を行き来し、漆黒(しっこく)御先神(みさきかみ)よ… 我が言霊(ことだま)と共に物部香奈の彷徨(さまよ)いし魂を探し出せっ! たまのををを… さがしもとめめめ・・・ よろずよよよ… むすびたももも… オンッ!」 占竜は精神集中し香奈の胸に手をおいた… みんなは泣きながら見ていることしかできなかった… 「クソォ! ダメだっ! 体内の(けが)が強すぎる! まずは身を清める! 裕美ぃ~! 水珠(みずたま)を!」 裕美は慌てて水珠を占竜にわたす… 「水よ… 清らかなる水よ… 邪悪なる穢れを祓い 香奈の身を清めよ…」 水珠が青き光を放つ! 途端(とたん)に香奈の体から黒き蛇が飛び出し 占竜に襲いかかる! 占竜の胸元に食い込んでいく黒き蛇を 無視して香奈に術を(ほどこ)す… 「香奈の魂よ… 常世(とこよ)より戻れ…」 水珠がさらに強き光を放ち、場を清めると、一匹のカラスが香奈の魂をくわえ 体内へと入っていく! 「肉体と魂を(むす)べよ… 漆黒(しっこく)御先神(みさきかみ)! 天の(ことわり)を守護せし、契約を(つかさど)る御先神よ… 天寿(てんじゅ)(ことわり)を正せぃっ!」 ドクンっと香奈の心臓が動き出す! スッと目を開けると香奈はゆっくりと体を起こした… 龍は姉ちゃんと抱きつき 無事をみんなで喜んでいた… その横で占竜が胸を押さえ苦しんでいる… 裕美が占竜に手を差し伸べる… 「へへっ… 他のみんなが手をださないように 押さえておいてくれよ…」 「にゃ!」 占竜は気を集中し始める… 「我が体内に入りし邪悪なる(わざわい)を喰らえぃ! 白虎来臨守護急急如律令(びゃっこらいりんしゅごきゅうきゅうにょりつりょう)!」 「ガゴォ~!」 白き虎が雄叫(おたけ)びをあげ現れた! 白虎は占竜の体に噛みつく! 占竜は苦痛に顔を(ゆが)める! 「なっ何しやがるっ!」 白虎に殴りかかる龍に裕美が一喝(いっかつ)する! 「大丈夫にゃ!」 龍はビクッと動きを止める… 白虎は占竜をくわえ 右や左に振り回す! 裕美も震えながら見ていた… ドカッ! 占竜は白虎の口からはずれて壁に叩きつけられる! 白虎の口には黒き蛇はくわえられていた… 白虎はそのまま 黒き蛇を噛み砕く!
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!