~蛇怨~

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龍の(こぶし)をいきなり現れた男が止めた! 「誰だ! 貴様はっ! テメエも死にたいかぁ」 「龍太よっ! 落ち着けっ!」 男は武の顔を(つか)むと握り(つぶ)した! 「うわっ!」 「(まぼろし)だ! (まど)わされるな!」 「幻? えっ?」 男は印を組むと呪文を唱え出す… 途端(とたん)に奈々は溶けていった… 「なんだよこれ… あっ! 俺は井戸の中で母さんに噛みつかれて…」 「思い出したか…」 「お前は何者だ…」 「私の顔を忘れたか?」 「あっ! きっ! 貴様は術師(じゅつし)! ハクダを封印したクソ野郎!」 術師は寂しそうに 怒りをむき出しにしている龍を見ている… 「我が名は鬼部龍太郎(ものべりゅうたろう)… 龍太… お前の先祖(せんぞ)だ…」 「俺の先祖はテメエみたいなクソ野郎じゃあねえよっ!」 「今更、あの時の罪を許してくれとは言わない… しかし、龍太よ… お主は間違いなく我が血を受け継ぐ者… 白蛇王神は苦しんでいる… 助けてやってほしい…」 「テメエで封印しといてよく言うぜっ! 言われなくても テメエの封印なんざ 俺の婆ちゃんが解いてくれる!」 「寿子では荷が重すぎる… 龍よ… お主が白蛇王神を助けるのだっ! 我が力… 我が記憶… 子孫たる龍太にっ!」 龍太郎はそう言うと、龍の体に入っていった! 「うわぁ! なんだよっ! 気持ち悪い術を使うなぁ!」 龍は叫ぶと同時に意識が遠のいていった…
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