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あれ?
また俺は夢を見ているのか?
龍は誰かの中にいるみたいだ…
龍が入り込んでいる人間は勝手に歩いている…
「殿っ…
お呼びでしょうか?」
「おぉ!
龍太郎!
待ちわびたぞっ!
先日の戦
大義であった!
敵国の奴らめっ!
鬼に腰を抜かしおったわっ!
お主の術は天下一じゃ!」
「ありがたきお言葉…」
「それでじゃ…
お主が謀反を企てようとしていると
耳にしたが誠か?」
龍太郎はピクッと体を震わせた…
「誰がそのようなことを
私の主は殿だけにございます…」
「そうじゃったな…
だが、用心にこしたことはないからのぉ…
お主がワシを裏切った時には…
まあ良い…
ワシの忍びが曲者を捕えた…
ワシに忠誠を誓うなら
曲者を鬼に食わせよっ!」
「はっ!
わかりました…
して曲者はどこに…」
「そこじゃ!」
襖が開かれると
そこには女の子がいた…
「殿!
子供ではありませんかっ!」
「子供でも鬼を使う…
お主の一族の者じゃ!
鬼を使って
ワシの命を狙ってきおったわっ!」
女の子が殿をにらみ叫ぶ!
「お前がぁ!
村をめちゃめちゃにしたんだぁ!
父さんや母さんを殺したのもお前だぁ!」
「無礼者が…
戦の最中に食料が不足したんじゃ!
民がだすのは当然じゃ!
お前の親は逆らった!
打ち首は当然じゃ!
のう…
同じ村に住んでいた龍太郎よ…」
龍太郎はワナワナと震えている…
逆らえば一族は皆打ち首になる…
鬼を使っても多勢に無勢…
どう足掻いても
今は勝ち目がない…
「殿っ!
その子供をお許しくだされっ!
二度とそのような真似はさせませぬっ!
我が一族は殿の為につくしますゆえ…」
「おぬしも裏切るか?」
「そのようなことは…」
「信用ならんのぉ…
まあよいわっ!
前の戦での褒美じゃ
そなたに命じたことは
なかったことにしてやろう…」
「ありがたきしあわせ…」
龍太郎がホッと胸をなで下ろした瞬間!
ザシュ!
殿様自ら子供の首をはねた…
首はゴロゴロと転がり龍太郎の前で止まった…
「ワシ自ら曲者を退治してやった!
ワシの腕もなかなかであろう?
んっ?」
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