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放心状態の左之さんを置いて、私たちは町へ出た。
私と沖田さんと平助君が三人で前を歩いて、後ろからばれないように土方さんや永倉さんが着いてきている。
「お、帯がきつい……」
「女の子はいつもこんな大変なんですか…」
二人の顔色が悪くなっている。
「あそこのお茶屋で休みましょうか」
私の提案に目を輝かせて頷く二人。
「ったく、こんな作戦で上手く行くのかよ」
平助君が愚痴を漏らす。
「でも左之さんは騙せてましたよね」
「あの人は単純だから。女だったら誰でもいいってとこあるし」
「じゃあお二人はどんな人が好みなんですか?」
素朴な疑問をぶつけてみる
「お、俺は…大和撫子?」
「「や、大和撫子?」」
「いいじゃねぇかよ!!!俺は綺麗な人が好きなんだ!!た、例えば……ほら!!」
平助君の指を差した方向を見ると舞妓さんが…
「奏さん、あれって舞妓さんですよね?」
「完全に舞妓さんですね」
私と沖田さんが平助君を白い目で見る。
「じゃあ沖田はどんな女が好みなんだよ!!」
「…私ですか??そうですね………」
私を見つめる沖田さん。
「な、何ですか?」
「奏さんみたいな人………」
「は?」
平助君の顔が固まる。
「……は、絶対ないとして…」
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