大切な妹

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      「かーちゃん見て見て~♪」 俺は握っていた絵本を得意気に母さんに見せ 「マーくん、買ったばかりの絵本にもう落書きしちゃったの?」 「落書きじゃないよ! ボク、王子さま気に入ったから無くさないようにお名前書いたんだよ!!」 そう言うと 母さんは大きくて綺麗な瞳を思いっきり細め クスクスと 嬉しそうに笑って 俺の目線まで屈み 優しく頭に手を置いた 「“マナト”って書いたの?」 「違うよ“マーくん”って書いたの」 偉いねマーくん これならきっとすぐに マーくんの絵本だって、解るわね… 小さい俺に字なんて書けるはずもなく どう見てもぐちゃぐちゃに殴り書きしたはずの俺を叱りもせず 母さんはそう言った    
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