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「茜、そびえる摩天楼」
夕暮れ時、
去り行く背中に涙した
茜に染まる広い天が
涙を茜に色付けた
後ろに伸びる橡の影
小さく小さく揺れていた
大地を濡らす私の涙が
小さな小さな染みになって
そこに小さな池を造った
「どうして行ってしまったの?」
堪えきれずに
両手で顔を覆い隠す
間から零れる涙の欠片が
私の深い哀しみを表現した
唇噛み締め茜を仰ぐ
天へとそびえる古の塔
アレが貴方を狂わせたのか
去った背中が向かった塔
古代の産物は荘厳に在り
私も貴方も運命も、
なにもかもをも狂わした
夕暮れ時、
去った背中に涙した
橡に移ろう広き天に
小さな壮麗の唄を紡いだ
end.
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