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「荒廃の水都城」
引き裂いた世界に映った僕の足場は
哀れに崩れた学校だった
水没した街
僕の生まれて育った場所は、今は深い水の底
世界はモノクロに彩られ
見知った色の場所など存在しない
今にも沈みそうな街路樹は
きっと綺麗な緑を彩っていたに違いない
僕の中に刻まれたこの街の記憶
僕が生きてきた分だけ綴られた記憶のページ
しかし、僕の知ってるものとは違った
灰色の空から雨が降る
無音の世界に雨音が響き、水面が揺らいだ
沈みそうだった街路樹は
静かに水底へと堕ちていく
僕の立っている足場にも水が浸食を始める
引き裂いた世界に佇む僕
哀れに滅んだこの街は
静かに水底へと消えていく
end.
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