5人が本棚に入れています
本棚に追加
青い空が広がっている。雲一つない、青々とした空が。
でも俺の心は、そんな空に反して曇り模様だ。
理由?そんなの…
「光騎!」
その声にビックリして後ろを向くと、そこには俺の親友の小路がいた。
「おはよう、光騎」
「あ、あぁ…。おはよう」
にっこりと太陽みてぇな笑顔で挨拶してきた小路に、俺もとりあえず挨拶を返した。
「なんか最近、ボーッとしてない?なんかあった?」
「い、いや別に…」
小路からの問に、思わず言い淀んでしまう。
言えるワケがねぇ…言えるワケがねぇだろうがぁぁぁ!俺の悩みのタネはお前の事なんだからなぁぁぁ!
「ふぅん…。ならいいんだけど」
そう言うと小路はタッと走り出した。
「僕、今日は先生に用があるから先行くね~」
こっちを振り向き、それだけ言うと小路は行ってしまった。
(行っちまったか…。一緒に行きたかったのになぁ…)
そんなことを思ってしまうのも無理はない気がする。
俺の悩み事。それはアイツへの恋心なのだから。人生で初めての恋の相手が男だなんて、流石の俺も驚いた。でも、小路に恋愛感情を抱いているのは事実なワケで…。
「はぁ…」
思わず振り仰いだ空は、相変わらず青く。雲の一つもありゃしない。俺のこの心が晴れる日は何時になるやら…。
考えても始まらない。俺は学校への道を、小路を追いかけるように走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!