月落ち桜

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雄介がライターで火をつける。 美加と香織が食卓を作る。 そして、南雲が料理をする。 みんなそれぞれに酒と料理が行き渡った。乾杯をしてわいわい騒ぎはじめる。 南雲は視線を感じていた。 じいっとこちらを窺うような視線を… 南雲は、嫌な予感がした。 「なぁ知ってるか?」 酒に酔った雄介が誰とは無しに問い掛ける。 「なぁに?」 美加が興味を示す。 奇妙な視線が南雲を串刺しにする。 「…この櫻に纏わる怪談」 雄介は気味の悪い声を出した。 「え~辞めようよ~ねぇ香織ちゃん?」 美加は、香織に助けを求めるような顔をした。 「面白そうじゃん!聞かせてよ雄介」 香織は、なんでもない顔をしている。 「やだよー南雲くーんどうにかしてぇ」 美加は、更に南雲に助けを求める。 南雲は知っている。 美加は、そんなこと言いながら実は怪談話が好きな娘である。 その証拠に言葉とは裏腹に目が輝いている。 青ざめた顔をしているのは南雲恭平 ただ一人だった。 そして南雲は経験上知っている。 人間、こういう時は、止まらないということを… 「ではぁ…皆様のぉ要望にぃお答えしてぇ…中嶋雄介Hourはじまりはじまりぃ」
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