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この櫻の木で昔、自殺した人がいるんだってさ…
目立たないタイプの地味な女の子。
メガネが似合う優しい女の子
大好きな先輩にフラれた上に両親が離婚して気持ちが参ってしまったんだね
満月の夜になると彼女は櫻の木の下に立っているんだって…
哀しそうに…寂しそうに泣くんだって。
「この話は、良くない」
南雲は雄介を止めようとした…
しかし背中を押さえ付けられるような感覚に襲われ、南雲は声すら出せなかった。
「それでね…」
雄介は語りつづける。
１０年くらい前、Ｋ大の生徒達が悪ふざけしてあの櫻の木に悪戯したんだ…
Ｋ大って解るだろ？川向こうの大学
頭の悪い生徒が集まることで有名なあのＫ大。
そこのラグビー部の人達が櫻の下で肝試しをしたらしい。
真夜中に、例の櫻の下に行き証拠の品を持ってくるって肝試し…
酒に酔った部員は櫻の木の枝を折ってきたんだって…
数日して部室が荒らされる事件が起きたらしい。
空き巣とも思われたが、何も取られていない…
ただ、櫻の花びらが床一面に落ちていたらしい…
その後、部員達に相次いで怪我人がでた
さらに、ラグビー部には寮があってその寮郵便受けに櫻の木の枝が入れてあったり…
真夜中に、寮の中を誰かが走り回る音がしたり。
いろいろ妙な事が続いて櫻の祟りじゃ無いかって話になって神社でお祓いをしてもらい、神主さんの奨めもあって櫻にお供え物を置きに行ったら…
すっかり枯れた櫻の木の下に女の子が立っていた…
部員達は気にせずお供えをして帰ろうとしたら…
「もう、ここで騒いじゃダメよ…今回は赦してあげる」
ニイッと満面の笑みを浮かべて女の子は消えた。
最初からそんな女の子は居なかったと言うものや、声だけ聞こえたと言うものも居たらしいが、その後ラグビー部に妙なことは起こらなくなった。
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