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プロローグ
「けんちゃん、あんたウチの会社でバイトしなさい」
僕は17才。
高校にも行かず、なんとなく毎日をやる気なく、家でダラダラと過ごしていた。今日も寝転がってテレビをボーっと見ていた、そんな僕に呆れた母さんが、たしなめるようにそう言った。
「ちょうど人が足りなくて困ってるとこがあってね、多分あんたでも出来る仕事だから。あんたももう17なんだから…働かざるもの食うべからずよ。」
僕の返事も待たずに母さんはそう続けた。
確かに、毎日ぷらぷらとしてるだけでは居心地も悪いし、小遣いがなければ新しいゲームやマンガも買えない。
「わかった、とりあえずやってみるよ」
僕がそう告げると、せっかちな母さんはすぐに会社の人に電話して段取りをはじめた。
「はいはい、ちょっと待ってください。…けんちゃん、明日からでも行ける?」
…急だなあ…少し考えたい気もするよなあ、でも…まあ明日もやることないしなあ、なんて、たいしてあまり何も考えずに
「うん、行くよ」
そう母さんに告げた。
それが、全ての始まりだった。
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