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バイト2日目
二日目。
結局斎藤さんと話そうと思う話題は見つからなかった。
そりゃああのひとがどんなひとだかちっともまだ知らないんだもんな。共通の話題を見つけようとしても難しい。
そうしてラッシュの電車に揺られつつ寝不足の目をこすりながら、なんとか会社に着いた。
「おはよう、調子はどうだい?」
事務所に入ると、豊島さんが話しかけてきた。事務所には、江田さん、斎藤さんの他に、豊島さんと小林さんというおじさんがいた。豊島さんは割と話しかけてくれるんだけど、小林さんとは挨拶以外言葉を交わしたことがない。他のひととも話してないし、斎藤さんよりも寡黙なひとみたい。
「元気いっぱいですよ」
寝不足なのを隠して元気に答えると
「若くていいねぇ、おじさんは二日酔いだよ」
と笑った。
ぼくもつられて愛想笑いした。
…こうしてつまらない会話に愛想笑いできるようになっていって大人になるのかな…?
そんな冷めたことを考えながら、豊島さんとたわいもない話しをしていた。
しばらく経つと、
「そろそろ行こう」
と斎藤さんがノソっと立ち上がる。
豊島さんに
「んじゃ行ってきまーす」
と告げて僕も立ち上がり、ノシノシ歩いてく斎藤さんについていった。
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