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カムアウト
翌日。
ゲイなのを公言している友達である、ミキちゃんをウチに招いた。
「今日はどうしたのぉ~?」
ミキちゃんは僕の部屋に入るなり、バックも下ろさずにそう言った。
「ま、まあ座ってよ」そう言うと、ミキちゃんはいぶかしげな顔をしてやっと腰を降ろした。
「…」
沈黙が流れる。
なんて言ったらいいのかわからない。
ミキちゃんは中学時代の同級生で、何度か遊んだことはあるものの、卒業してからはほとんど連絡を取ってはいなかった。
「ね~ぇ、どうしたのぉ~?」
ケータイをいじりながら、さらに聞いてきた。
「あ、あのさあ、相談したいことがあってさあ…」
「…ん~?そうだぁーん?」
ケータイをいじる手を止めて顔を見合わせた。
「あのね…」
「あのね…」
しばしの沈黙のあと、僕はがんばって勇気を出した。
「実は、僕も男の人が好きかもしれないんだっ!」
「…あら、そうなのぉ~?」
僕が勇気を振り絞って言ったのに、ミキちゃんは冷静なままだ。拍子抜けしてしまった。
「…お、驚かないの…?」
「あら、おどろいてほしいのぉ~?そりゃちょっとはびっくりだけど、ケンちゃんは素質あると思ってたしぃ~」
ミキちゃんは、目を細めてニャッとしながらそう言った。
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