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母さんの仕事先はビルメンテナンスの会社で。
僕が案内されたのは支社のさらに支社みたいな事務所だったみたいだ。
ビルを管理していく中で「環境測定」というものがあるらしい。
それを斎藤さんと2人で組んでやるってのが、僕に与えられたバイトの内容らしかった。
…「らしかった」というのは詳しいことがチンプンカンプンだからだ。
詳しい説明もないまま、江田さんにロッカーに案内され、少々窮屈なツナギの作業服を支給され着替えると、今度は会社の車に案内されて助手席に座らされ、
「行ってらっしゃい、詳しい説明は裕樹に聞いてね。それじゃがんばってな。」
そう言うが早いか江田さんは助手席のドアを閉めて行ってしまった。
斎藤さんとは挨拶してから一言も話してない。
カラダは僕よりデカいわ強面だわちっともしゃべらないわで、僕は少々びびっていた。
そうして目的地も告げられず、これから何をするのかもわからないまま、斎藤さんは無言でエンジンをかけ、ゆっくりと車が走り出した。
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