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デパートの地下の事務所に入ると、中の人に一斉に挨拶された。
僕もとりあえず元気を振り絞り
「おはようございますっ」と挨拶した。
ここもやっぱりおじさんおばさんばかりの事務所だった。
「お、健二くんか、バイト始めたのお母さんに聞いたよ。また大きくなったなあ」
ふと、社員旅行に一緒に行った見覚えのあるおじさんが話しかけてきた。
「お久しぶりです、よろしくお願いします」
そう言うと
「おお、挨拶もいっちょまえになったなあ」
と坊主頭をグリグリ撫でられた。
あ、このひとになら聞けるかも…と思い
「まだ何の仕事するかよくわかんないんですけど…」
と聞こうとすると
「何かこっちも何してるかよくわかんねえんだよな、斎藤全然しゃべんない奴だし。悪いやつじゃないんだけど。まあでもなんかラクそうだぞ、あいついっつも寝てるからなあ」
と笑いながら答えられた。
…何するんだろう…やっぱり斎藤さんに聞くしかないのかな…
そう思い斎藤さんのところにもどると、斎藤さんは僕の方を見ずに腕時計を見ながら
「そろそろ時間かな…」
とまたボソッと、まるでひとりごとのように言った。
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