バイト初日

6/8
前へ
/43ページ
次へ
ノシノシと歩いていく斎藤さんに追いつくと、突然立ち止まった。あまりに突然だったので、でっかい背中に顔をぶつけてしまった。 「あ、あ、ごめんなさい」 斎藤さんは気にした風でもなく、振り返りもしないまま 「ここでいい?」 と言った。 見ると居酒屋さんがやってる定食ランチ。ウマそうな見本が並んでたので、 「はい、いいっす」と即答した。 入るとまだ12時前だったのでガラガラ。案内された席へ座ると、 「何でも食っていいよ」 と言われた。 「え、いいんですか?」 聞き返すと、 「…最初だから特別に奢り」 斎藤さんはメニューを見ながらタバコに火を付けつつそう答えた。 …うーん…よく思われてないかと思ったけど… この人なんだか何考えてるんだかよくわかんないな… ずっとこっち向いてくれないしなあ…。表情もちっとも変わらないし…。 そんなことを考えながら、店員が来たので注文した。 もちろんふたりとも大盛で。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加