第一章

2/13
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/127ページ
日暮桜(ヒグラシ サクラ)は面白い奴だ。 弁当を食べる時はお米を先に全部食べるし、カバンは前にしかかけない。前髪をピンで止め、クリッとした目を輝かせる。 春、中学校とは違う所に越してきた俺に友達はいない。周りは皆、もうグループが出来てるというのにも関わらず、俺はいつも一人でいた。 つまり出遅れた。 目の前には机、さらにその前に黒板が。ここは教室。右を見ても左をみても生徒で溢れる青春の空間で、俺は隣に座る日暮を眺めていた。 日暮が隣にいたお陰で退屈しなくてすむ。まだ一度も話した事は無いが、彼女の行動は極端に高校生離れしている。 子供っぽさで言えば、それはもう小学生くらいだろうか。 今、お昼時。皆は各々ワイワイ話しながら学食へと向かうが、俺と日暮だけは一人ぼっち。 この時俺は、日暮の事をただの面白いやつとしか思っていなかった。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!