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日暮桜(ヒグラシ サクラ)は面白い奴だ。
弁当を食べる時はお米を先に全部食べるし、カバンは前にしかかけない。前髪をピンで止め、クリッとした目を輝かせる。
春、中学校とは違う所に越してきた俺に友達はいない。周りは皆、もうグループが出来てるというのにも関わらず、俺はいつも一人でいた。
つまり出遅れた。
目の前には机、さらにその前に黒板が。ここは教室。右を見ても左をみても生徒で溢れる青春の空間で、俺は隣に座る日暮を眺めていた。
日暮が隣にいたお陰で退屈しなくてすむ。まだ一度も話した事は無いが、彼女の行動は極端に高校生離れしている。
子供っぽさで言えば、それはもう小学生くらいだろうか。
今、お昼時。皆は各々ワイワイ話しながら学食へと向かうが、俺と日暮だけは一人ぼっち。
この時俺は、日暮の事をただの面白いやつとしか思っていなかった。
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