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ピリリリリ…ピリリリリ…
「…ん゙―…ねみぃ…」
小さく唸りながら音の根源を手探りで探す
カーテンから射し込むのは光ではなく薄暗い闇
もう夜に近い夕方だ
ピッとボタンを押して携帯を耳に当てると、慌てたような、焦ったような声が聞こえた
…よく知ってる声
『あ、彰っ!?』
彰「は?」
…瑠花?
瑠『た、助けて!』
彰「は、どうした?」
思わず焦ってガバッと起き上がる
瑠『今、帰りなんだけど…誰かにつけられてる…』
電話越しでも分かる、瑠花の軽く震える声
悪い冗談でも、嘘でもない、本当に怯えているんだと伝わってきて、急いでジャケットを着込む
彰「場所は?相手は?すぐ行くから」
安心させてやりたくて、早口でそう言うと瑠花はますます泣きそうな声を出した
瑠『あ、きらぁ…早く助けて…っ』
彰「今、向かってる。場所言え、場所!」
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