プロローグ

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昼下がりの午後。 沙織は、いつものように一通りの家事を済ませ、与えられたほんの少しの余暇を過ごしていた。 沙織には、それぞれ1歳、3歳、5歳になる娘がいる。 三姉妹のママだった。 一番下の子は、すでに離乳食が進み、あまり手のかからない育ち方をしていた。 むしろ3人目の子育てをする沙織がベテランを発揮したともいえる。 今もおとなしく寝ている。 幼稚園から戻った上の二人は、昼食を終えて、 居間のソファで同じくお昼寝タイムだ。 しばしの休憩…沙織のティータイムとなる。 お隣からお土産で頂戴した、アッサム茶をいただくことにした。 ティーポットに、スプーン2杯ほどのリーフを入れ、 沸騰したばかりの湯をゆっくりと注ぐ。 リーフを蒸らすと、渋みを持った独特の芳香が漂う。 朝食の時のあっさりとしたストレートティではなく、 沙織は、のんびりする時にはミルクティと決めていた。 ティカップにミルクを注ぎ、口に運ぶ。 それにしてもこのアッサム茶は美味しい… 沙織はダイニングの椅子に腰掛け、午後のひとときを味わっていた。 その時… ジー、ジー、居間のテーブルで携帯が鳴った。 あら…誰だろ? マナーモードにはしてあったが、案外な音がする。 沙織は子供が起きないように…と、小走りでテーブルに向かい、携帯を確認した。 え?うそ…。 沙織は一瞬たじろぎ、携帯を持ったままその場に立ちつくした。 ためらいがちな手の中で、その音はしばらく鳴り続けていた…
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