9人が本棚に入れています
本棚に追加
昼下がりの午後。
沙織は、いつものように一通りの家事を済ませ、与えられたほんの少しの余暇を過ごしていた。
沙織には、それぞれ1歳、3歳、5歳になる娘がいる。
三姉妹のママだった。
一番下の子は、すでに離乳食が進み、あまり手のかからない育ち方をしていた。
むしろ3人目の子育てをする沙織がベテランを発揮したともいえる。
今もおとなしく寝ている。
幼稚園から戻った上の二人は、昼食を終えて、
居間のソファで同じくお昼寝タイムだ。
しばしの休憩…沙織のティータイムとなる。
お隣からお土産で頂戴した、アッサム茶をいただくことにした。
ティーポットに、スプーン2杯ほどのリーフを入れ、
沸騰したばかりの湯をゆっくりと注ぐ。
リーフを蒸らすと、渋みを持った独特の芳香が漂う。
朝食の時のあっさりとしたストレートティではなく、
沙織は、のんびりする時にはミルクティと決めていた。
ティカップにミルクを注ぎ、口に運ぶ。
それにしてもこのアッサム茶は美味しい…
沙織はダイニングの椅子に腰掛け、午後のひとときを味わっていた。
その時…
ジー、ジー、居間のテーブルで携帯が鳴った。
あら…誰だろ?
マナーモードにはしてあったが、案外な音がする。
沙織は子供が起きないように…と、小走りでテーブルに向かい、携帯を確認した。
え?うそ…。
沙織は一瞬たじろぎ、携帯を持ったままその場に立ちつくした。
ためらいがちな手の中で、その音はしばらく鳴り続けていた…
最初のコメントを投稿しよう!