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『一人が寂しいのは鍋だけじゃ
ない、かあ。』
臨也は退室した後も
田中太郎とセットンのチャット
でのやり取りを見ていた。
『いつも一人の俺は鍋が一番寂
しい気がするけど、ね。』
っと悲しそうな顔で臨也は言っ
た。
『今日も一人鍋かあ、
…………………シズちゃん。』
っと誰もいない部屋で
静雄の名前を呼ぶ。
静雄の名前を呼んで
寂しさを紛らわせようとするが
まったく紛れない訳で
臨也は更に寂しくなる。
「で?鍋はどこにあんだよ?」
『鍋?鍋なら、…………え?』
誰もいないはずの部屋から
声が聞こえた。
臨也が振り向くとそこには
今一番会いたかった静雄が居た
『な、んで、シズちゃんが居る
の?』
っと驚きを隠せない臨也は
歯切れの悪い喋り方をする。
「あ?てめぇがメールよこした
んだろ。」
『あ、そうだっけ』
「てめぇ!
はぁ、まぁいい。で、鍋は?」
『ごめん、まだ用意してない』
「死ね、今すぐ死ね。
東京タワーのてっぺんから
紐無しバンジーして死ね。」
『でも、すぐできるよ。
鍋は簡単だし美味しいし…。』
それに、っと臨也は言う、が
そのあとの言葉が出てこない
「二人で食うから余計にうまい
、だろ?」
『……違うよ。』
「あ?違わねぇだろ。
さっきのお前の独り言からして
。」
『シ、ズちゃんとだから
余計に美味しくなるんだよ。』
っと顔を赤らめながら笑う
臨也に静雄はドキッとして
自分でも顔が赤くなってるのが
わかった。
静雄は自分の顔を右手で隠し
左手を臨也の頭に置き
「ん、そーだな。
わかったから早く作れよ、
俺腹減ってんだよ。」
『うん!』
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