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「──ほら、朝よ。早く起きなさいってば」
いつもの声で、僕は目を覚ます。
「ん……」
「ほらほら、早く」
音量が大きくなる。
……まったく、うるさい女だ。
「分かったよ」
のそのそと、僕はベッドから起き上がる。
と同時に、部屋のカーテンが独りでに開いた。
途端、陽光が部屋中を満たす。
「眩し……」
「ほら、シャキッとする。今日は中学の入学式でしょ」
相変わらず、ベッドの傍らのパソコンから僕を急かす声。
「勝手にカーテン開けるなよ……」
「残念でした、カーテンが開いたのはタイマーですぅ」
液晶の中で、彼女は意地悪そうに笑った。
「いずれにせよ、お前のシステム下じゃないかよ……」
「ぐちぐち言ってないで、さっさと顔を洗ってくる!」
「分かった、分かったよ」
僕はしかめっ面で洗面所へ向かった。
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