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春日ナオタ。
随分と軽そうな男だった。
何となく気圧されてしまった僕は、愛想笑いを浮かべる。
「俺ら、隣町の小学校から来たんだ。だから、あんまり知り合いいなくてよー」
カラカラと、ナオタは笑う。
・
「……『俺ら』?」
複数形が気になった。
ナオタは僕の前の席の男子生徒を顎で指す。
「ああ、コイツだよ、コイツ」
彼は机に突っ伏して眠っていた。
……熟睡しているように見える。
「おい、ほら、起きろって」
ナオタが少年の肩を揺する。
「んあ……」
その黒髪の少年はのそのそと顔を上げた。
「……んだよ、ナオタ。俺は眠いんだよ」
「おいおい、また徹夜かよ?」
「仕方ないだろ……昨日は観たいアニメがあったんだよ」
その少年の顔を見たとき、
───何故か僕は、
強烈なシンパシーと共に、
何か居心地の悪さを感じた。
「ん……おまえ、誰?」
少年が眠そうな目で僕を見る。
「え……あ、九条シキ」
「そか──俺はユーマ。北山ユーマ、だ」
そう。
──これが、僕と北山ユーマの邂逅。
僕の最悪の敵との出逢い。
……自分の奥底に沸いたその感情が、
同属嫌悪という名を持つことを、
僕はまだ、知らない。
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