《2》現れた最悪

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ナオタという少年はどうやらお祭り好きな性分のようだった。 体育館で行われるという『新入生歓迎会』の会場に入ると、ナオタは目を輝かせながら辺りをキョロキョロと見回していた。 「いやー、何をするんだろーな。なんかワクワクするよなー、こういうのって」 「……ふわぁ~」 対するユーマは、ナオタの隣で眠そうな顔をしている。 体育館は溢れかえる新入生でガヤガヤと騒々しかった。 と、不意に照明が落とされる。 「お、なんか始まるっぽいぜ」 ナオタがウキウキしながら言う。 新入生のざわめきが溢れる中で、 ……それは起きた。 ド轟音ォォォォンッ!! ステージの上で、爆発が起きた。 「へ……!?」 「な……!?」 「え……!?」 「きゃッ……!?」 僕のポケットの中のリリまでもが、驚きの声を上げる。 だが、幸いその声に気付いた人間はいないようだった。 騒然とする会場。 「なんだぁ、いきなり……?」 「げ……ナオタ、あれ見ろ」 不意にユーマが、嫌そうな声で言った。 その指が示す先は、ステージ上。 ……蔓延する煙の中から現れたのは、1人の女子生徒の姿。 「ん……あれって……」 ナオタも驚いている。 どうやら、その人物は二人の顔見知りらしい。 しかし、何という派手な登場だ。常軌を逸しているとしか思えない。 たかだか新入生の歓迎会に、此所まで手の込んだ演出が必要だろうか? 髪の長い、大人びた体格の、綺麗な女性だった。 彼女はニヤリと笑うと、 ───突然、マイクに向かって叫んだ。 「───アタシの歌を聴けぇぇぇッ!!」 「……」 「……」 「……」 「……え?」 ……耳が痛くなるほどの静寂が、体育館に舞い降りた。
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