魔都、上海にて

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彼女の部屋に入ると…そこには大きなテーブルがあり、その上には豪勢な料理が並べられていた。                           そして…部屋には、彼女の他に…数人の給仕と、三人の男達が席に付いて待って居た。                  彼らは組織の幹部で、皆…清四郎とは顔見知りであった。                 『清四郎、ゆっくり出来たか?』                            小桃がにこやかに言った。                 『ええ…おかげで、旅の疲れが取れましたよ。 あ…皆さん、お久しぶりです』                             清四郎は居並ぶ幹部達にも挨拶をした。 『お久しぶりです。夢幻さん』               『息災だった様ですな』                  『また会えて嬉しいですぞ』                三人の幹部達も相好を崩し、挨拶を返した。 彼らは、先代亡き後の組織をもり立てた…立て役者達であった。                           名前は…劉永徳、曹鍾輝、孫鳳越、と言い…その能力は各々違っていた。                        人徳の劉。知勇兼備の曹。政治力の孫…彼らは己の特性を把握し、各々の役割に徹し…組織を完全に掌握し、上海一の組織へと育て上げたのだった。                  つまりは…彼ら三人こそが、この紅藩(フォンパン)と言う組織の、実質的なトップだったのだ。                           彼らは先代の忘れ形見である、小桃を篤く庇護し…彼女を蔑ろ(ないがしろ)にはしなかった。 これは紅藩の構成員達に、熱狂的に支持され… 組織を固める要因の一つとなっていた。 清四郎は、そんな男達からも一目置かれていた。
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