魔都、上海にて

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昭和11年4月半ば… 2・26事件終結から二ヶ月後のある日… 清四郎の元に一通の手紙が舞い込んだ。 それは海外…中国からのもので… 清四郎は怪訝な顔をしながら、差出人の名前を見た。 『ほう…張さんからか…何だろう』 清四郎はペーパーナイフで封筒を切り、中を開けた。 中に入っていたのは…数枚の便箋と、船のチケットだった。 清四郎はチケットを見遣ってから…その手紙を読んだ。 《清四郎さん、久しぶりだな。元気かい? まぁ…あんたの事だから…相変わらず元気なんだろうな。 こっちは…青藩(チンパン)との抗争も一段落して…今は平和だ。 <<<<中略>>>> あ…それでチケットは見てくれたかい? うちのボスが、あんたに会いたいらしくてな。 抗争が収まった今なら…って事で…チケットを送ったんだが…まぁ…俺もあんたに会いたいしな。 良かったら…じゃねぇや…都合つけて是非来てくれ。 じゃあな! 張陽明 》                    『ふふふ、張さんらしいな。李大人が会いたい…か』 清四郎はそう言って、苦笑しながらチケットを取った。                    『お誘いは受けなきゃあな…』 彼が上海に発ったのは、それから二日後だった。
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