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清四郎が案内された部屋は…超が付くVIPルームだった。
『ボスは、いつまででも御滞在をと…とりあえず、旅の疲れを落としてください。後で迎えに来ますから』
張はそう言って、部屋を出た。
誰も居なくなった部屋で…清四郎はバスタブに湯を出した後、ベッドに横になった。
『ふう…あの子も…大きくなったな』
清四郎は、そう一人ごち…煙草に火を付けた。
紅藩の今のボス…李大人は、本名を『李小桃』(り・しゃおとう)と言い…
この組織の二代目であった。
先代のボスで父親の、李白楽は…妻と一緒に買い物をしていた所を…
敵対組織である青藩の爆弾テロに会い…
命を落とした。
この時…小桃も一緒に居て、テロに巻き込まれたのだが…
その場に居合わせた、清四郎により助け出されていた。
これが…今から5年前の事だった。
先代亡き後…紅藩は一時ガタガタになったが…
残った幹部達の努力で…勢力を回復し…
敵対組織の青藩を、上海から叩き出すに至った。
そして…先代の忘れ形見の小桃が…後を継ぎ今に到っていたのであった。
清四郎はふと…そんな昔の事を思い出していた…
その時…風呂場から、水が溢れる音がした。
『おっと…湯が溜まったようだな』
清四郎は煙草を消し、風呂場に向かった。
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