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    実弥はバドミントン部に所属しているが、大会前以外は基本的に朝練がない。 加えて、親に学校近くまで送ってもらっているため、起床時間が他の学生よりも幾分遅かった。 いつも通りの時間に起きて、朝食をがっつり食べている時、家のチャイムが鳴った。 「あら、誰かしら」 この時間に来客など珍しい。 母が小走りでインターホンを確認しに行く間、実弥は白飯をおかわりしに席を立った。 向かいにいる弟の拓海が呆れ顔をしているのを目敏く見付け、頭を軽く叩く。 「暴力反対!」 「うっせ」 大袈裟に頭を抱えた拓海を尻目に、茶碗一杯に白飯をよそる。 戻ると拓海の姿はなかった。 時間的に、鞄を取りに行ったのだろう。 気にせず席に着き、湯気が上る白飯を口に運ぼうとしたまさに時、肩を軽く叩かれた。 そして頭上から声が降ってくる。 「朝からよく食うねぇ」 「んぶっ!」 頭の天辺に腕を乗せ体重をかけられてしまっては振り返ることも咄嗟に言い返すことも叶わなかったが、変な声だけは出た。 小さく笑いながら腕を退けた祐樹は、隣の席に座り、テーブルの上の御菜の数々を見て感嘆の声を上げた。 「いいねぇ実弥は」 視線の先には黄金色の卵焼きがある。 祐樹の昔からの好物だ。    
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