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そのまま教室のドアを開けると、まだ教師は来ていなかった。
担任が来たのだと勘違いしたクラスメイト達が、咄嗟に中断した談笑を再開する。
後ろ手にドアを閉めて席へ向かう際、真美子と目が合った。
「おはよう、実弥ちゃん」
「……はよ」
挨拶するか否かをぎりぎりまで迷った末、なんともやる気のない音となった。
真美子が笑顔をほんの僅かに曇らせる。
すぐに真美子から目を逸らした実弥は気付かなかった。
実弥が席に着いた直後、ドアが乱暴に開けられて、担任が入ってきた。
「はーい、出席取るぞー。ちゃんと返事しろー」
遅刻した日に打ち合わせが長引くとはついている。
こっそり自分の運に感動しながら、いつもより手短な朝学活を終えた。
しかし、いくら手短といっても開始時間が遅かったため、殆ど時間が余らず、すぐに授業開始となった。
一限目は世界史である。
「だる……」
文系教科があまり好きではない実弥の意思はノートにも表れている。
黒板はいつの間にか字で埋め尽くされているというのに、実弥のノートは白さを保ったままだった。
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