一話・第05遊撃小隊

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大はしゃぎしながらシミュレーターを降りてくる男。 先程の模擬訓練で、真っ先に撃墜された中村亮平が駆け寄っていく。 「あのなぁ……。」 額を手で押さえながら、藤宮はため息を噛み殺す。 「っ! あででででっ! いてーよ、佐伯ちゃーん! 」 突然、耳を押さえて痛がりだした中村。 その後ろでは、中村と同期の仲間である佐伯珠が、腕を組んで踏ん反り返っている。 恐らく、連携を組んでいた中村の独断行動に怒りを感じたのだろう。 「ふん、すぐに堕とされた罰よ! 」 やはり踏ん反り返っている佐伯に、納得が行かない様子の中村が食い下がっている。 「それにしたって《コレ》は酷ぇじゃねーか! 佐伯ちゃんの鬼っ! 悪魔っ! 」 客観的に見れば、駄々をこねる子供にしか見えない。
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