プロローグ

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何発の弾丸を、目の前に居る化け物共にぶち込んだだろうか。 そんな事を思いながら、パイロットはトリガーを引く。 途端に、灰色のビルの壁が黄土色に染まり、ひび割れたアスファルトの上に化け物が倒れた。 「こちらアサルト・リーダー、敵を殲滅した。そろそろホームシックの限界だ……、どうぞ。」 やや投げやりな態度で報告する。 三機の紅色のMT(マシントルーパー)、《烈火》が50mm突撃砲を構えて警戒している。 『こちらCP、左翼のランス中隊が敵の攻撃を受けて劣勢です。援護して下さい。』 「おい、労働基準法はどうした。明らかに時間外労働だろう。」 ちくしょう、男は膝を叩きイライラを抑える。 「……チッ、全機続けっ! 」 舌打ちと共に《跳躍》、残りの二機も後に続く。 太陽の光を受け、深紅に輝く装甲が戦場を切り裂いていった。
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