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刹那とは異なり空華からは言葉が出ない。代わりに冷たく粘りけのある汗が顔を伝う。
「……何じゃこりゃ」
刹那が逃げようと言う意味も直ぐに理解出来た。
その後ろには目の前にいる傷だらけのヒトと同じ姿のヒトが二十人弱が、無惨な姿で地に倒れていた。
肩から腰まで血の線があるヒト。首の無いヒト。子供であろうが大人であろうが関係の無い見るに耐え難い光景だった。
「な!!わかっただろ!?早く逃げよう!!」
茫然している空華に向け、刹那が寄り肩を掴む。
「……あ、あぁ。早く離れて大人に話さないと!」
二人共、顔から血の気が消え真っ青になっていた。
恐怖に震える足を動かし川の方へ向かおうとする。
しかし優はその場から動こうとはしない。
「優!!早く逃げるで!!」
空華はそんな優の手を掴み引き寄せ様とするが動かない。
「……俺はここに残るで。……最後の頼みを聞いて欲しいって言っとるんじゃ」
「何訳の解らんこと言っとるんじゃ!はよせー!」
刹那も叫ぶが、やはり優はそこから動かこうとはしなかった。
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