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二人が戦うことを決意した時にはもう妖霊が目の前で汚く涎を垂れ流していた。
刹那は頭の中に生まれ出た、イメージと言葉を頭の中で繰り返す。
そして、鋭い目で妖霊を睨み付けた。
「うぉーー!!突き破れ雷!雷光弾!!!」
刹那の手に雷が集まり玉状に構成される。そしてそれは妖霊の一匹の方へ飛ばす。
目の前で放たれた雷玉に避ける暇すらもなく体に当たる。
雷玉を受けた妖霊は全身を震わせ地面に伏した。
空華もまた覚悟を極め妖霊を冷たい目で見ていた。
「悩んでも仕方ないの」
一言呟くと掌を妖霊に向け翳す。
「燃え尽きろ!炎流波!」
空華の翳した手を炎が飲み込む。炎を纏った手に力を込めると炎が一筋の線を引き連れ一匹の妖霊に襲い掛かる。
炎に当たった妖霊は激しく燃え上がる。炎の中でもがくが空華の炎は空華が手を降ろすまで消える事がなかった。
二匹は倒せたのだが、刹那と空華に今までに感じたことのない、疲労と痛みが全身を駆け巡る。
二人は疲労と痛みに耐えれず膝を地面に着けた。体は自分の意思に反する様に重く動こうとしない。
「くっ!もう一匹いるのに…」
刹那は震える膝を押さえて立ち上がろうとするが、やはり体は動かない。
目の前には怯えているが一匹の妖霊が立っている。
怯えているが、その目は此方を睨んでいた。
二人の異変に気付いたのか、一歩ずつ慎重に近づいて来る。
そして二人が動けないことが解ったのか、妖霊は二人に向け飛び掛かった。
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