~始まりの時~

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 1995,7,30  快晴  中国地方の山奥の田舎町。人口三百人程度の町というより村。名を継世町という。  小学6年の同級生三人組がいた。三人組とは言うが同級生自体が三人しかいない。しかも男三人だ。  明るく話すちょいっと頭の悪い早嶺刹那<ハヤミネ セツナ>。お調子者であり、ムードメーカー的存在だ。運動神経はとてもいい。  その話しを笑いながら突っ込みを入れる泉空華<イズミクウガ>。彼も明るく笑顔を絶さない。非常に頭が良く切れ者。  2人の話を欠伸をしながら聞いて鼻笑いをしてるのが獅童優<シドウ ユウ>。体も頭も並でどこにでもいそうな普通の子供。だが時々とても寂しそうに空を眺めている。 刹那と空華はこの町で産まれこの町で育った。優は五歳の時にこの町に引っ越して来た。それ以来の親友である。 同期生が三人と言うこともあり何をするのでも一緒であり、遊ぶ時も悪戯する時も怒られる時も共に過ごしてきた。  この日も三人は集まり何をするか決めていた。 「ぶち暑いわー。さて何するか~!?てかまぢこの暑さどうかならんかのー」 夏の焼き付ける陽射しの中、汗を袖で拭いながら刹那は二人に声をかける。 「あそこに泳ぎでも行くか~!?」 空華は何やら悪いことを考えていと全面に出した笑顔で答えた。 「あそこは近づくなって、この間怒られたばっかりじゃろ~!?」 ゙あそごという言葉に反応した刹那は顔に焦りを浮かばせている。 「刹那は怒られるの怖いんか?」 そんな刹那を見て空華は刹那の正面に立ち、からかう様に言葉をかける。 「んな!?別に怖くないで!」 刹那は焦りを浮かべながらも強がりを言ってみせた。 「じゃあ決まりじゃの。行こうや!」 子供にとって近づくなとか、してはいけない、とか言われるのは逆効果であり、それが興味を掻き立てる。 子供とは良くも悪くも好奇心の固まりなのだ。
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