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三人は木漏れ日に包まれた山道を登り、目的の川を目指す。
その場所はこの町に遥か昔から言い伝えがある。
……光と闇を繋ぐ門。触れれば世界が闇に包まれるであろう。
あまりに真実味が感じられない。言い伝えなど科学の発展したこの世界ではただの迷信でしか無くなっていた。
それでも町人の大人達はそこには決して近づこうとはしない。半信半疑ではあるが、やはり不安がないとも言えないのだ。
そんなことなど子供にとっては楽しみの一つでしかなく、歩む足取りは早くなるのであった。
出発して三十分位経っただろうか。透き通った水が緩やかに流れる川の前に辿り着く。辺りの木々が心地の良い風に揺れていた。
「着いたのー!!暑いし早く泳ごうで!!」
川の縁に立ち刹那は満面の笑顔を浮かべていた。
「怒られるってビビってた奴が一番乗り気じゃのー」
そんな空華の言葉にも刹那は肩を軽く叩き笑みを浮かべて返した。
「はぁ……寝む」
そんなやり取りを二人がしている横で優は目を擦りながら川を見ていた。
「ここまで来て寝るんかや!?」
刹那は優を横目で見ながら笑らっていた。
「……大丈夫浮き輪あるで」
優は何故か浮き輪を持っている。しかもすでに膨れていた。
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