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矢野知之、通称矢っさん。
この町の「威風堂々」と言う居酒屋を経営する俺達の先輩だ。
先輩ってと言っても歳は五歳ほど離れている。
歩いて向かうと店の前にはバイクやら高級車などが数台止まっている。
「……行く?」
「他に行く所ないし」
ちょっと嫌な予感を感じつつも暖簾をくぐり、年忌の入った引き戸をガラガラっと開けた。
「いらっしゃい!……てかお前らかよ!」
「ご無沙汰してます。矢っさん」
「宗も一緒か!」
「お久しぶりです矢野さん」
店内はカウンターと奥の座敷、厨房と言った至ってシンプルな作りになっている。
「とりあえず座れ」
カウンターに案内される。
「いらっしゃいませぇ」
厨房をくぐって若い女の人が注文を取りにやって来た。
「とりあえず、ビールと冷奴2つずつ」
女性はちょっと躊躇いながら聞いた。
「お客様失礼ですが年齢は……」
「雅美ちゃん!そいつらは俺の後輩なんだわ!」
矢っさんがカバーに入る。
「そうなんですかぁ?」
虎汰朗と宗は頷いた。
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