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注文を取り終えると、女性は付箋を矢っさんに手渡して、奥の座敷へと向かった。
「誰なんです。あの子?」
冷奴の仕込みをしている矢っさんに虎汰朗は不思議そうに聞いた。
「雅美ちゃん?実はよ2ヶ月くらい前に『ここでバイトさせて下さい』って来たんだよ。どうやら訳ありみたいだったから家で面倒見ることにしたんだよ」
雅美と言う女性が座敷の方から戻って来た後、ビールサーバーでビールをグラスに注ぎだした。
「いや、よく働くんだな、雅美さん」
宗が若者のノリで聞いた。
「そんな事ないですよぉ、私は働かせて貰ってる側ですし、矢野さんには感謝してるんです」
ビールを二人の前に置く。
「はいよ、冷奴。焼き鳥はサービスな」
「ありがとうございます」
4人で話して、いよいよ飲もうかと思った時。
店の引き戸が勢いよく開けられた。
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