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「そんなに恐いかよ? 見えないオレがよぉ…」
肉塊だらけの部屋に響く濁声。
それはどこから発されているのか分からない。
しかし、確実に相手はこのグロテスクな部屋に居るのだろう。
その部屋に居る男達は自然に円陣を組み、各々が見える範囲を警戒する。
「畜生、出てきやがれってんだ! ヒャハハハッ!!!」
円陣の中の一人、トマーゾが笑いながら見えぬ相手に怒鳴る。 彼は笑ってはいるが、表情には全く余裕がない。
(…この声は“アイツ”だ)
姿なき声を聞いて、青色の少女はぎりりと歯を噛み鳴らす。
そう、この声には聞き覚えがある。
今、自分がこの化け物だらけの城に居る理由を作った怨敵の声。
『何か』が走る音はする。
『何か』が笑う声はする。
『何か』がまた一人、仲間を始末した。
だが、姿は見えない。
その様にトマーゾとハンターは恐怖する。
下品に笑いながら命を狩り取っていく見えざる死神に。
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