決戦ーⅦー

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  だが、少女は思った。 自分は此処に何をしに来た? そうだ、復讐だ。 そうだ、敵討ちだ。 自分はその為に来たのだ。 その為だけに来たのだ。 カーミラの恋人なんてどうでもいい。 ローラの妹なんてどうでもいい。 吸血鬼と人間の争いなんてどうでもいい。 自分は…私は…トリニータ・キャッスルリバーは、死した修道女と子供達、そして、自分を助けてくれた『彼』を殺した『アイツ』を殺しに、いや復讐しにやって来たのだ。 そんな『アイツ』は自分からわざわざやって来てくれたのだ。 そう、アイツを討ち取るには『今』しか無い。 トリニーは俯き、再びぎりり、と歯を噛み締めた。 「ねぇねぇ、トマーゾ」 「ヒヒッ、何だよトリニータちゃんよぉ!」 「…わ、私が前に出たらさ…私の首あたりを“撃って”」 トマーゾが驚いた顔で「…は?」と聞き返す前に彼女は円陣から離れ飛び出していた。 「ちょ、何やってやがる馬鹿がッ!!」 (比較的)安全な円陣から離れた少女を見て、トマーゾは怒鳴った。  
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