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静まり返った室内。
その広く冷たい空間は朱の分厚いカーテンに覆われた窓に囲まれ、幾百の燭台とシャンデリアが部屋を照らす。
その部屋の中心、その奥には煌びやかなステンドグラスが一つ。
その前には己の存在を誇示せんと佇む王座。
その大袈裟な王座には男が座っていた。
ひょろりと長い四肢は柳の様にか細く、その身体を包むのは中世の軍人を思わせる典雅な装い。
鷲鼻に尖った耳と如何にも人間離れした容姿のその老人。
狼の様な鋭い目つきで彼は一方向をただ見つめる。
その方向とは、この部屋唯一の出入り口。
その王座に鎮座する老人こそ、吸血鬼集団『スカーレット・クルセイド』を束ねる首領オルロック伯爵である。
その唯一の出入り口の扉の向こう側。
徐々にだが、銃声と悲鳴が近づいてくる。
その近づく死神の軍楽隊に微かにだが、伯爵の口元が少しだけ上がった。
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