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面倒そうに溜め息をした後、少女はスカートの両端をつまみ上げ、足を組むとぺこりと会釈する。
「申し遅れましたオルロック伯爵殿。 私、死妖姫カーミラ…いや、マーカラ・カルンスタインと申します。 以後お見知り置きを……で、満足かよ、えぇ?」
会釈を終えた少女、カーミラは腰に両手を当て、ブスッとした不機嫌面で言う。
「噂以上に粗暴だな」
そう呟くオルロック伯爵にカーミラは「そりゃどうも」と一言。
そして、彼女はおもむろにスカート下に片手を滑らせた。
そして、ゆっくりと引き出すとその小さな白い手には不釣り合いな程に大きくて黒いリボルバー拳銃、トーラス・レイジングブルが握られていた。
彼女はその巨銃の銃口を伯爵の心臓に向け、狙いを付ける。 そして、室内にはレイジングブルのハンマーを引く音が静かに響く。
あとは引き金を引くだけだ。
引き金を引けば、454カスール弾は撃ち出され、伯爵の心の臓腑をたちまち挽き肉に変えてしまうだろう。
なのに、伯爵は…、
王座に座り不適な笑みを浮かべて眺めているだけ。
回避の動作なんて一つも見せやしない。
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